冷徹ホテル王との政略結婚は溺愛のはじまりでした


 その日の夜、やっと久しぶりに椿さんと退勤時間が被り、ふたり揃って帰宅した。

 夕食に、ナスやゴーヤなどの夏野菜と鶏肉をふんだんに使った南蛮漬けを頬張っていたとき、彼が話を切りだす。


「明日から、仕事で帰れなくなる」

「泊まりがけなんて大変ね。大きな仕事が入ったの?」

「ああ。今度、ランコントルホテルはラスベガスにも進出するんだ。俺が日本に戻ってきたのは、藍と籍を入れるためでもあったけど、ラスベガスのホテル経営について樹と話を進める予定もあった」


 ラスベガスはいつか行ってみたいと夢をみていたけれど、まさかランコントルホテルが新設されるとは想像していなかった。

 ニューヨークで経営の腕が認められた椿さんが、ラスベガスの総支配人に移り、事業を進めていく予定だという。

 その時差は約十七時間あり、現地のスタッフとパソコンを繋いでリモート会議をするそうだ。

 なるほど。確かに時差がある国の人と仕事をするなら、泊まりがけでやったほうが体への負担が少なそう。

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