冷徹ホテル王との政略結婚は溺愛のはじまりでした


 「三日後の夜には帰るよ」と伝えられたので、以前ニューヨークへ出向いたときのように、お風呂やご飯の準備を整えて迎えようと計画していた。

 しかし、約束の日の昼ごろ、予想外の連絡がスマートフォンに入る。


【今夜は外で食事をしないか。十九時に“久我”で予約をしておいた。都合がつけば、来てほしい】


 受信したのは私用のメールアドレスへの連絡だ。椿さん……かな? いつもはSNSなのに、変ね。そもそもこのアドレスを教えたんだっけ?

 メールでやりとりをするのは初めてなので、もちろん宛先のアドレスは登録していない。

 けれど、結婚をして名字が変わったのを知っている友人はほぼ職場の転勤で地方にいて簡単に会えないため、こんなメールは送るはずがないし、迷惑メールにしてはリアルすぎる。

 添付されていたお店のデータを確認すると、ランコントルホテルから徒歩十分もかからず行けるくらいのイタリアンだった。

 コース料理が美味しいと評判のちょっとお高い店で、以前から興味があったところである。


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