冷徹ホテル王との政略結婚は溺愛のはじまりでした


 覚悟を決めて尋ねたとき、椿さんは少しだけ躊躇しながら答える。


「瑠璃川から連絡が来て、藍が向坂と会っているって聞いたから、気になって話を聞きに行ったんだ」


 予想外のセリフに思考が止まった。

 私が宇一さんと会っているってどういう意味?


「瑠璃川財閥はアンジュの上顧客で、向坂とも付き合いがあったみたいだ。瑠璃川いわく、体だけの関係らしいが、藍が向坂の元彼女だと聞いたんだろう。向坂は藍に気があって、瑠璃川は俺に執着してる。要は、利害の一致で情報を吹き込んで、俺たちの仲をひっかき回すつもりだったんだ」


 「まんまと乗せられた俺も俺だけど」と低くうなった椿さんに、気になっていた疑問をぶつける。


「瑠璃川さんとは、なんの関係もないの?」

「当たり前だ。情報提供の条件に食事をしただけ。藍は向坂になびかないと信じていたし、結局いつもの自己中心的な話しかしなかったから、瑠璃川が席を離れたタイミングでお代だけ払って出てきたよ。その後、藍から電話が来て……あとは樹からだいたい聞いたんだろ?」


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