冷徹ホテル王との政略結婚は溺愛のはじまりでした


 二次審査の会場で、宇一さんと会った。彼も一次を通ったらしい。

 もう、心はブレなかった。自分の信じるままに実力を出し切るしかない。

 多くの人に支えられながら迎えた二次試験を終え、翌日、表彰式にて結果が発表される。

 職場でペストリーシェフに結果を報告して自宅に戻ると、待ち構えていた椿さんが緊張の面持ちで出迎えた。


「藍、どうだった」


 本人よりも気にかけてくれていた彼は、ソワソワと落ち着かない様子だ。

 私は、すっきりとした表情で答える。


「残念ながら、日本代表になれなかったわ」

「……そうか」


 なんて声をかければいいかわからない様子の彼は、すぐに「よく頑張ったな」と私の肩に手を置く。

 全力で励ますモードに入った椿さんに、私はバッグの中からあるものを取り出す。それを見た瞬間、彼の目が丸くなった。


「……三位入賞?」

「うん。アジア大会には進めなかったけど、部門の中で入賞できたの……!」


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