冷徹ホテル王との政略結婚は溺愛のはじまりでした


「そうだ、藍。ひとつ提案があるんだけど」


 上着を脱ぎながらリビングへ向かうと、ソファに腰掛けた彼はさらりと言う。


「実は、頑張った藍にご褒美を用意していたんだ」

「ご褒美?」

「ああ。これ、なんだと思う?」


 私は、椿さんが顔の横でひらひらと揺らす紙を見つめた。

 そこに書いてある文字を読んだ瞬間、つい声が出る。


「ラスベガス行きの航空券?」

「十二月十日に、ランコントルホテルのプレオープンがあるんだ。月初めには総支配人として現地に行くんだけど、プレオープンが無事に終わって、改善点に関する諸々の会議が終わったら、しばらく休暇を取る。ラスベガスで一緒に休暇を過ごさないか? 遅めの新婚旅行として」


 ラスベガスで新婚旅行だなんて、まるで夢みたいな誘いだ。

 リゾート地にいつか行ってみたいと思っていた。椿さんとゆっくり過ごせるなら、ぜひ行きたい。

 予定を立て、プレオープンの二日後である十二月十三日から一週間の休暇を申請した。

 それから、ふたりでグルメや観光地をピックアップしていき、楽しみな気持ちが積み重なっていく。


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