冷徹ホテル王との政略結婚は溺愛のはじまりでした
「でも、待って。確か、ここのホテルの利用時間は午後十九時までじゃない? ちょうど閉まっているんじゃ……」
「大丈夫。特別なプールだから」
食事の後、椿さんに導かれるままタクシーに乗る。やがて、三十分ほど離れたところにある大きなホテルの前に泊まった。
エントランスには、見慣れた看板がある。
「ここって、ランコントルホテル……?」
「ああ、ラスベガスの拠点だ。おいで」
ロビーは、温かみのあるランプに照らされた高級感のある空間だ。白い壁に、赤やオレンジ、黄色などの明るい色調がマーブル模様になった柄の床が映えている。
一定の間隔をあけて並ぶ背の高い植物が、リゾート感を感じさせ、日本のランコントルホテルとは違う良さに感動した。
黒の大理石で作られた広いチェックインカウンターに、若い男性が立っている。
『ああ、久我さん。お疲れ様です。スタッフの準備は出来ていますよ』
『ありがとう。みんなも楽しんでいたか?』
『ええ。企画のおかげで、良いリフレッシュが出来たようです。私も明日利用させていただきます』