冷徹ホテル王との政略結婚は溺愛のはじまりでした
流暢な英語で挨拶を交わした椿さんは、男性からカードキーを受け取って私を案内してくれた。
本来、宿泊客に渡されるカードキーが、プールへの入場許可証となっているらしい。
ラスベガスのランコントルホテルには、室内と室外のふたつのプールがあり、椿さんは照明の設備がある室内のプールへ向かう。
「プレオープンが終わってから、設備のチェックと労いを兼ねて、従業員とその招待客限定でプールを開放しているんだ」
チェックインカウンターにいた男性と話していた“企画”は、プールの解放だったようだ。
オープン前のプールで遊べるなんて、想像していなかった。
千人を超える従業員が働いているとはいえ、宿泊客で溢れるプールよりは人目を気にせず使えるだろう。
それでも、心の中にはまだ不安があった。
せっかく水着も用意したけど、醜い体を見せるのは抵抗がある。ずっとコンプレックスを隠してきたのだ。
男女別に別れている更衣室は、幸いにも他の人はいなかった。シャワーを浴びた後、ビキニの上から白いビーチガウンを羽織る。
案内板に従って長い廊下を進むと、神殿のように柱が立ち並び、屋内とは思えない自然豊かな楽園が目の前に現れた。