冷徹ホテル王との政略結婚は溺愛のはじまりでした
そのとき、光沢のあるワインレッドのスーツを着た男性が歩み寄ってきた。
暗めの茶髪をパーティー仕様にオールバックにまとめ、すっきりとした目元と長いまつ毛が印象的な華のある人だ。
椿さんに負けず劣らず、どこかのモデルかと言わんばかりの整った外見に、一般人とは一線を画すオーラを感じる。
「椿。今夜は来てくれてありがとう。相変わらず君は、ゲストの目を引くのが上手いな」
「奏さん。お招きありがとうございます。会うのは三年ぶりくらいですか? お元気そうで何よりです」
彼が、ハルナホールディングスの代表取締役社長である榛名さんらしい。
親しげに挨拶をする椿さんに続いて頭を下げると、榛名さんは穏やかに微笑んだ。
「君が藍さんだね。初めまして、わざわざ出席してくれて感謝するよ」
「こちらこそ、ありがとうございます。お話ができて嬉しいです」
「椿が妻を迎えたと聞いたときは驚いたけど、こう並んでいるところを見るととてもお似合いだ。結婚おめでとう」