冷徹ホテル王との政略結婚は溺愛のはじまりでした
柔和な表情で祝福をされて、こちらも笑みを返す。
すると、榛名さんは目を細めて椿さんに冗談っぽく声をかけた。
「あれほど結婚はしないと断言していたのに、俺よりも先にゴールインだなんて、この裏切り者」
「ははっ、昔の話はやめてください。藍と出会って身を固める覚悟が出来たんです。そういえば、弟さんも去年ご結婚されましたよね。奏さんも、そろそろひとりに絞ったらどうです?」
「人を遊び人みたいに言わないでくれ。実家のしがらみがある男が、結婚相手を見つけるのがどれほど面倒か、君ならよくわかるだろ」
彼らは、御曹司にしかわからない苦悩を共有しているようだ。
椿さんが結婚をしないと断言していたのは気になるけれど、政略結婚のために折れてくれたのだと思うと、乗り気ではなかったのが頷ける。
ふたりが楽しそうに過去の思い出話に花を咲かせていたとき、パーティーの雑踏から低い声が聞こえてきた。
「あれが例のプレイボーイか?」
「オーラから違うよな。この中にいる何人の女が引っかけられたんだか」