冷徹ホテル王との政略結婚は溺愛のはじまりでした
嘘、どうしてここにいるの? 本物?
動揺が止まらない私に、彼はにこやかに声をかけてくる。
「久しぶりだな。ホテルの会場でネームプレートを見るまでわからなかった。俺を覚えているか?」
あんなひどい仕打ちをしたのに、馴れ馴れしい。まるで仲の良かった人に話しかけるくらいのテンションだ。
睨み返しながら、彼に答える。
「忘れるわけないわ。宇一さんは、なぜここに?」
「友人の結婚式があってさ。藍がランコントルホテルで働いているとは驚いた」
まさか、今日のウエディングのゲストなの? こんな偶然があるとは想像していなかった。
彼は、ブッフェの担当をしていた私を見つけ、わざわざ話をするために追いかけてきたらしい。
戸惑う私をよそに、距離を詰めて肩を抱かれる。
「痩せて、一瞬誰だかわからなかったよ。綺麗になったな」
「触らないで。今さら何のつもり?」
「冷たいな。愛し合ってた仲だろ? 俺、今フリーなんだ。久しぶりに飯でもどうだ」