冷徹ホテル王との政略結婚は溺愛のはじまりでした
心の奥底にしずめていた怒りが、ふつふつと沸き上がった。
軽薄で女好きのクズ男。自分勝手なところも変わっていない。
「愛し合っていた? ふざけないで。私のことは遊びだったって、はっきり言っていたじゃない」
「悪かったよ。あの頃は俺も若かったから、自分に酔っていたんだ。藍を大切にすべきだったって反省してる」
浅すぎる回答に頭痛が始まった。
つくづく、私はどうしてこんな男性に惚れていたんだろうと呆れてしまう。
若かったって、あなた二十八歳だったじゃない。自分の店も持って、仕事も独立して稼いでいたし、いつまで遊んで許される子どもだと思っていたの?
肩を掴まれた手を振り払おうとしたそのとき、スーツ姿の男性が通りかかった。駐車場へ向かおうとしていた足が止まり、彼と目が合う。
「藍? 何をしているんだ」