佐藤さん家のふたりとわたしと。
急いで向かうとまだ帰らずに立っていた結華がいた、自分の下駄箱の前で。

「…今度は何パクられたんだよ?」

雨の日の傘も、忘れてたと思っていた教科書も、そして今…片方の靴も、全部誰かに故意にされていたんだ。

誰かが盗んだ。

わざと、嫌がらせに。

「………っ」

結華が俯いてる。

いつも元気で、笑い声の絶えない、明るいヤツだけど…そんな結華が下を向いてる。

少し震えて。

なんで俺は気付いてあげられなかったんだろう、こんなに近くにいたのに。

「結華…っ」

手を伸ばした、慰めようと。

たぶん泣いてるんじゃないかって思ったから。


「…潰すっ!!!」


「え?」


想像してた言葉より遥か上のチョイスに伸ばした手が引っ込んだ。あとドスの強さに俺のが変な声出ちゃったじゃないか。

「いい加減腹立つわ!人が何も言わないことをいいことに!」

「え、結華?」

「私にこんなことしたの後悔させてやるんだから…!」

…すまん、気付かなかったのは俺だけで結華は気付いてたのか。

そっと引っ込んだ手を下ろした。

あと今俺に課せられた問題が1つ、どっちを助けるべきなんだ?

結華ならマジでボッコボコにしかねないぞ!!!

血相を変えて走り出す結華のあとを追って走った。
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