Hello,僕の初恋



「まさかスッピンで行くつもりじゃないでしょうね」

「ただの学校の打ち上げだし、そんな気合入れなくても」

「男子も来るんでしょう!?」



お姉ちゃんが物凄い剣幕でそう言うから、こくりと頷いた。

あっという間に髪の毛を弄られ(引っ張り回され)、顔に何かをぺたぺたと塗りたくられた。



「私がブルベ夏だからあんたもブルベ夏、たぶん」



お姉ちゃんは謎の呪文を唱えて、アイシャドウのパレットから色を選んでいった。

まぶたの上にぐりぐりと塗られて、仕上げにリップを唇に乗せられ……、乗せてくれる。



私は自分が身につけた緑色のワンピースの裾を見て、彼のベースと同じ色だな、とぼんやりと思った。



「あんた、ちゃんとしとけば可愛いんだから頑張りな」



お姉ちゃんはそう言って、私の肩をぽんと叩いた。

合コンにでも行くと勘違いしたのだろうか。



しかし数時間後、彼女の予想は的中してしまうのだった。
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