Kiss Me Kitty! ~年下猫系男子とゆる甘アパート生活~
「……ツーくん。なんでこの人がいるの?」
ふたりのデートに割って入った形となったことに気づいた比菜子は、「ごめん!」と咄嗟にツカサの手を弾いた。
「比菜子?」
「私は本当に通りかかっただけでっ……。ツカサくんたちの邪魔をするつもりはなかったの」
「は? 邪魔ってなんのことだ?」
下を向いて真っ赤な目をする比菜子、ハテナを浮かべるツカサ、勝ち誇った顔で笑う有沙。その三人を「おやおや」とつぶやきながら戸崎がおもしろそうに眺めている。
続いて口を開いたのは有沙だった。
「こんばんは、ご近所のオバ様。こんなところまでツーくんに会いに来たんですか?」
「ち、ちがうっ……」
「ふーん。ねえツーくん本当? このオバ様、まるで自分のことを彼女かなにかだと勘違いしてるようだけど……もしかして、なにかあったの?」
(やめてよ、ツカサくんにそんなこと聞くの……!)
泣きそうになりながら首を振る。
しかし次の瞬間に発されたツカサの「は!?」という声が、比菜子をさらなる絶望へと突き落とす。
「なにもねぇよ! 俺が比菜子に手ぇ出すわけねぇだろ!」
ツカサは耳まで真っ赤になりながら大きな声を出して否定した。
周囲の女性たちがちらりとこちらを見ては「修羅場?」とつぶやきながら、クスッと笑って通り過ぎていく。
(……あ。もうダメかも、私)
腕を組んで様子を見ていた戸崎が「あーあ」と声を漏らしたのとほぼ同時に、比菜子の目から大粒の涙がポタポタとこぼれ落ちた。