Kiss Me Kitty! ~年下猫系男子とゆる甘アパート生活~

アスファルトの地面にパンプスの音が響く。迷路のような小道に入り、曲がり角のたびにいくつものカーブミラーがそそり立っていた。

あそこにも。ここにも。

そのうちのひとつになにかが映った。

(えっ……?)

立ち止まって、目をこらす。
しかしそこには暗い夜道以外にはなにも写っていなかった。
すべてのミラーには同じ闇が写っているだけ。

(勘違い……?)

周囲を見回してみるが誰もいない。ドクン、ドクンと波打つ心臓が鳴り止まなくなる。

走ったせいでここがどこだかよくわからなくなり、出口はわからず、風の音しか聞こえない。

比菜子は立ち尽くし、荒くなる呼吸を整えようと「ハァ、ハァ」と息をして肩を上下させた。

振り向くと、そこにはさらにカーブミラーが立っており、くっきりと、電柱から覗く黒い人影が写っていた。

「ひゃっ……!?」

見ていられなくて顔を覆い、足を折ってしゃがみこんだ。

(怖い、怖いっ……誰かっ……)

すると背後から〝タッタッタッタッ〟という足音がすごい速さで近づいてきて、それは比菜子のすぐそばまで迫り──

「比菜子!」

(えっ……)

二の腕を掴まれて引っ張られたかと思うと、立ち上がった先にいたツカサの胸の中に収まっていた。

< 103 / 106 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop