Kiss Me Kitty! ~年下猫系男子とゆる甘アパート生活~
「じゃあツカサくん、汗だくだから着替えてきて」
「えっ」
ツカサは服の裾をキュッと握る。
「うちのシャワー貸してあげるから浴びちゃって」
「いや、いい!」
「……自分のところで入るの?」
「そ、それは……」
また沈黙したため、慣れた比菜子は根気強く待った。
「……服、持ってきてなくて。これしかねえんだ」
(やっぱり……。部屋になにもなかったもんなぁ)
「……ツカサくん、あのねぇ」
「い、いや、だから、本当はバイトして、金稼いで全部買う予定だったんだ!」
「それでも給料日まで一文なしでしょう。ある程度まとまったお金を準備してから引っ越ししなきゃ」
「そ、そりゃ……用意してたけど。敷金だの礼金だの取られるなんて知らなかったんだよ。喧嘩して家出てきたからいきなりだったし、荷物も持って来る余裕なくて……」
比菜子はいよいよ呆れつつも、目の前で真っ赤になり恥ずかしがるツカサが憎めなかった。自分にも覚えがあったのだ。