Kiss Me Kitty! ~年下猫系男子とゆる甘アパート生活~
(わかるよ。なかなか自分の思ったとおりにいかなくて、悔しいよね。若いころは希望ばっかりで、なんてでもできるって思ってた。そんな甘いもんじゃないのに)
数年前の、OL生活に夢を抱いていた自分の姿が重なった。
ところが現実は、これだ。比菜子は作り上げたこの部屋が自分そのものを表しているようで、切なくなって目を細める。
「じゃあ、こうしようか。着替え分を立て替えてあげるから、アルバイトを探してきて。お金は少しずつ貯めて、返せるようになったら返してね。ご飯もこっちに食べにおいで。シャワーも布団もしばらく使わせてあげる」
「そんなっ……!」
「それとも、自分でなんとかできる?」
言葉を返せず、ツカサはうつ向く。
「……ツカサくん。私に美味しいクッキー買ってきてくれたでしょ? それのお礼だよ。クッキーくれなかったら助けたりしてないんだから。ね?」
比菜子は思わず、ふわふわのツカサの頭を撫でた。
(助けてくれる人間を周囲に作れるっていうのは立派な才能なんだよ。それができない人が世の中にたくさんいる。お金がなくても、引っ越しの挨拶をきちんとできたツカサくんは偉い)