Kiss Me Kitty! ~年下猫系男子とゆる甘アパート生活~
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オンとオフの中間と言える、紐でウエストを締めてリボン結びをする身軽なワンピースにトートバッグを持ち、駅前へと出掛けた。
駅から一本路地に入った通りに、黒板にチョークで『チェリッシュ』と書いた看板が立っており、店先には黒のテラス席が四つ、外壁は計算されたような配置のツル化の植物の葉で彩られている。
ガラス張りの店の内装はすべてウッド調と黒のモチーフで、カウンターとソファ席に分かれているのがわかった。
(チェリッシュってここかぁ! お洒落すぎて入ったことなかった)
比菜子はお客様ぶって入店すると、奥のテーブルを拭いていた金髪の店員が硬い表情で近寄ってきて、
「いらっしゃいませ」
と軽く頭を下げた。
顔を上げたその彼と、バッチリと目が合う。
「…………はぁ!? 比菜子!?」
「ふふふ、来ちゃった」
彼は口をパクパクさせた後、一瞬で耳まで赤くなる。
大きな声を出したせいで何人かの客が振り返ったため、キョロキョロしながら自分の口を両手で塞いだ。