Kiss Me Kitty! ~年下猫系男子とゆる甘アパート生活~
それから五分後、わずかに混雑したためツカサは忙しくなり、別の店員が「お待たせしました」とパスタを運んできた。
男性だが真っ黒な直毛の髪を後ろで一つに束ねており、アジアンティックな雰囲気がしている。
(お洒落な男の人)
「ありがとうございます。美味しそう」
三十代後半くらいで毒がなく優しそうに見えるが、比菜子は彼の胸のバッジに小さく書かれた『店長』の文字に気づく。
(ツカサくんのことよく怒ってるって人かな)
比菜子がついジッと彼を見ていると、店長はその視線に笑顔を返した。
「ご来店ありがとうございます。店長の戸崎といいます。ツカサくんと話してらっしゃいましたが、お知り合いですか?」
(わ! 物腰も声も柔らかくて大人っぽい。この人もファン多そうだなぁ)
「あ、はい。近所に住んでるだけですけど、気になって来ちゃいました。お仕事の邪魔しちゃっててすみません」
「とんでもない。ツカサくんはよく頑張ってくれていますよ。是非ゆっくりしていってください」
「はい。ありがとうございます」
綺麗なお辞儀をしてキッチンへ戻っていく戸崎を見送ってから、比菜子はフォークに巻き付けたパスタを口へと運んだ。
(……充分美味しいじゃん)