Kiss Me Kitty! ~年下猫系男子とゆる甘アパート生活~

それから二十分が経ち、午後八時。

キッチンから「お先失礼します」というツカサの声がし、私服に着替えた彼がカウンターへ戻って来た。

「比菜子、あがったぞ」

パーカーにカーゴパンツの見慣れた私服だが、まっすぐ歩いてくる彼に比菜子はトクンと胸が鳴る。

「お疲れさま」

まだクリームパスタが三分の一ほど残っている。それとは別に、ツカサの持っているトレイから温かいパスタの香りが漂っていた。

(バター醤油のいい匂い!)

「美味しそう。まかない?」

「おう」

キノコと海苔の和風パスタとお冷の乗ったトレイを比菜子のトレイの隣に置き、続いてツカサは当たり前のように、彼女の右隣の席に座る。

(やだ、緊張する。いつもは向かい合って食べてるのに、今日は隣合ってるから……)

比菜子が視界の隅で揺れる金髪にドキドキしていると、ツカサがパスタにスマホを向け、カシャッと音を鳴らす。

(料理撮ってる。かわいい)

比菜子が心の中でそうつぶやいたとき、背後のテーブル席の女性たちも「料理撮ってる。かわいい」とまったく同じことを口に出して騒ぎだした。

それとともに、「隣にいるの誰だろう? 彼女? 」と比菜子にも注意が向けられる。少しの敵意も混じっていた。

「いやー彼女じゃないでしょ。ジャンル違すぎ」

もうひとりはそう答える。
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