Kiss Me Kitty! ~年下猫系男子とゆる甘アパート生活~
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仕事を終えヘルシーネオを出た比菜子は、電車に揺られながら、一日中頭から離れなかった昨日のマッサージ事件を思い出す。
火が着いたような彼の表情が甦り、体の熱が再びわき上がってくる。
(なんかツカサくんって、イケメンのわりにウブすぎない? 普通はもっと女慣れしてると思うんだけど……)
上の空のまま電車を降り、アパートまでの十五分の道のりをフラフラと歩く。
(……ん?)
自分のパンプスの足音とは違う、ヒールの音が聞こえてくる。
こちらの歩みと同じスピードで、その音は一定の間隔を保って背後から鳴っていた。
アパートの前で、ふと足を止め、振り返る。
「あっ……」
声を漏らしたヒールの主は、焦ったように立ち止まった。
白いAラインのワンピースに、白いカーディガン、さらに白いエナメルのパンプスという眩しいその女性は、揃えてカットされたロングの黒髪が艶々と揺れている。
小柄で、大きな瞳のと小さな唇の整った顔立ちはお人形のようであった。
(なにこのピカピカの女の子……)