籠の中の鳥は今宵も熱い寵愛を受ける【完結】
 明日は和穂さんの実家主催のパーティーだ。

大袈裟なものではない、と言っていたが俄かに信じられない。パーティーで着るドレスは既に彼が用意してくれていた。ホテル入り時間を早めてヘアメイクなどを施してくれるようでメイクはまだしもヘアセットには自信がない私にとって至れり尽くせりだ。

 和穂さんは相変わらず私をまるで自分の子供のように甘やかす。

「何か悩みごとがあるのならば言ってほしい、直に夫になるんだから」
「いえ、大丈夫です。明日のことが少し不安なだけで」
「本当に?」

 目を細め、疑っている彼に私は満面の笑みを見せる。


藤沢千佳のことをどう思いますか、などと聞けるわけがない。これは恐怖心からだ。
言葉では絶対に否定するだろうが、仮に…狼狽するような表情をされたら私は今度こそ生きていけないほどに絶望するだろう。

 今までの人生を振り返ると極端に自己肯定感が低いわけでもないし、自信のないお嬢様でもない。むしろ他のお嬢様とは違って、自分の力で生きていくことが出来ていると自負している。なのに恋愛になるとトラウマも相俟ってストレートに聞くことも伝えることもできない。
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