籠の中の鳥は今宵も熱い寵愛を受ける【完結】
二度深く頷いた。

「そう。そしてどうしてかまた縁談の話が来ていて、うちの会社の専務になるっていう」
「すっごい偶然じゃない。何よそれ…」
「ね?もう今日の仕事全く頭に入ってこない。やる気がない、帰りたい…」
「顔合わせってもう少しだよね」
「そうなの…」

顔も知らない人物と結婚するはずだった、のに…―。

「今日から毎日帰ってくるらしい。仕事用に借りていたマンションは解約するって。私に素性を伝えていない段階で私にストレスを与えたくなかったからわざと帰宅しなかったみたい」
「ええ?自分の家なのに?ただのいい人じゃん」

 今日は私も住むマンションに帰宅するといっていた。

―直にわかる

それは間違っていなかったのだ。
今日帰宅したらなんと彼に声を掛ければいいのだろうか。


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