籠の中の鳥は今宵も熱い寵愛を受ける【完結】
「逃げられた経験がないから興味があったんだ。せっかくだから君のことを知りたいと思うようになった」
「普通逆ではないでしょうか。常盤家に泥を塗るようなことをしたのに…」
「別に恨んでもないし、負の感情は一切ないよ。逃げたいほど嫌だったのだから仕方がない」
あんなに無礼なことをしておいて彼のご家族にどんな顔をして会えばいいのか今から不安だが和穂さんと話していると自然に心が軽くなる。悪戯に笑う彼は年齢よりも若く見えた。
「運命の人がいるなど信じてはいないが、ロンドンでたまたま出会った俺たちは君の中の“運命の相手”に当てはまらない?」
「それは…当てはまるかもしれませんが」
「当てはまってくれるといいんだけど」
「…」
和穂さんとの会話で勝手に鼓動が速まっていく。
恋愛経験皆無というわけでもないし、胸がときめくような年齢でもない。
それを隠すかのように白菜を口に含んだ。
夕食を終えるとお風呂に入り自分の部屋で日記をつけていた。結局倉庫においてある家電類は売ることに決めた。
これから引っ越す必要がなくなったのだから当たり前だ。