珈琲と花の香りの君



「…ちょ!冗談はやめてくださいよ…恐いんすけど…」



恐れおののく俺に、



「…僕は冗談なんか、言わないよ?」



いつもの語尾が微妙に上がるアクセントで奴は、俺に言った。



「魔女も黒猫も、ネズミだってけしかけるよ?」



仰向けで、寝る俺の胸の上に腰掛けて、そのまま奴は、体を折って俺の耳元に自分の口元を近づけた。



「…もし君が、珠利を傷つけるようなことがあれば、ね?」



耳元の奴の声に、



「見くびらないで下さい。俺は誰より珠利ちゃんが大切です!!」
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