【完結】余計な愛はいらない。

 
「あぁっ……」

「いいね、その表情。……色っぽくて、たまらない」

「んんっ……ふぅっ……」

 その言葉と同時に、深く重なり出す彼とわたしの唇。
 色っぽく音を立てる唇は、まるで淡い空間を演出しているみたいだった。
 
「本当に可愛いな。……名前は?」

「……杏実」  

「杏実か。……今から杏実の全てを、奪うけどいよな?」

 そんなことを耳元で囁かれながら、わたしは自然と頷いてしまっていた。
 そして彼の腕の中で、理性を手放したーーー。



✱ ✱ ✱ ✱



「ん……っ」

 翌朝カーテンの隙間から漏れ出した光で目を覚ますと、わたしの隣に寝ていたはずの彼の姿はなかった。

「あれ……。わたしだけ……?」

 あの人は……どこに?
 そう思ってベッドから抜け出すと、彼はシャワーを浴びたのか、ソファの上で寛いでいた。

「あの……」

 ここって、この人の家……だよね?
 すごくシンプルだけど、整理整頓されていて、キレイな部屋だった。

「杏実、起きたのか」

「は、はい。……おはよう、ございます」

「ん、おはよう」

 挨拶をすると、彼は爽やかな笑顔を向けた。
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