【完結】余計な愛はいらない。


「あの……」

 なんて言えば分からないなと思っていると、彼から口を開いていた。
 
「杏実、朝ご飯食うか?」

「……え、あ……朝ご飯、ですか?」

「ああ。トーストあるけど、食べるか?」

 そう聞かれたわたしは「あ、えっと……」と口ごもった。

「じゃあ俺も食べるから、杏実も一緒に食べよう。 それならいいだろ?」
 
「え?……あ、はい。じゃあ……いただきます」

 そう言われたら、断れない……。

「ん、今焼くからちょっと待ってろ」
 
 立ち上がった彼は、キッチンに行くとオーブントースターにトーストをセットし、焼き始めた。

「杏実、イチゴバタークリームと、マーマレードどっちがいい?」

 い、イチゴバタークリーム……? なにそれ、聞いたことない……。

「……じゃあ、イチゴバタークリームで」

「了解」

 爽やかな笑顔を向けるその彼の姿を見たわたしは、今まで感じたことのない不思議な感情に駆られた。

「杏実はコーヒー飲める?」

「あ……はい」

「ミルクと砂糖はいる?」

「じゃあ、お願いします」 

 なんだろう、よく分からないこの不思議な感情は……。
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