【完結】余計な愛はいらない。


「野瀬……さん」

「杏実は魅力的な女だ。 そんな魅力のある女を傷つけるようなことをした玲音を、俺は絶対に許さない」

 野瀬さんの言葉が妙に嬉しくて、わたしは野瀬さんの背中に抱きついた。

「野瀬さん……」

 野瀬さんの優しさに触れてしまって、すごく自分を後悔した。 玲音とセフレになったことも、愛してほしいなんて思ったことも。
 何もかも全部、後悔したーーー。

「俺は玲音とは違う。 俺は杏実の全てを愛する自信があるし、杏実のことを大切にする」

「……野瀬さん」

「玲音のことを好きになったことを後悔するくらい、俺が杏実のこと愛してやるから」

 そんなことを言われたら、わたしは何も言えなくなる。
 ……野瀬さんはずるい。こうやってわたしの心のシャッターを開けてしまうのだから。
 
「杏実が俺のこと好きになってくれたら、俺はもっと愛する自信があるんだけどな」

「……ずるいです、野瀬さん」

 わたしはもう、野瀬さんに心まで奪われていたんだなと、そう感じた。
 野瀬さんの仕草も、野瀬さんの言葉も、今のわたしには嬉しすぎる言葉でしかなかった。
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