【完結】余計な愛はいらない。


 わたしは彼女の前に座ると、そう口を開いた。

「中原杏実さん、初めまして。……わたし、茅野玲音の元妻、です」

 彼女は淹れたての紅茶を一口飲むと、わたしにそう告げてきた。

「……え?」

 玲音の、元妻……? え、玲音の離婚した、元奥さん……?
 
「中原さん、急に押しかけてごめんなさい。……今日はあなたに謝りたくて来ました」

「え……? 謝る……?」

 どういうことだろう……。謝るのはわたしの方なのに……。

「わたし、玲音があなたと浮気してたことは知ってました」

「え……?」

 わたしが玲音のセフレだということを、彼女はすでに知っていたんだ……。
 わたしはそれを知らずに、玲音のことーーー。

「……玲音はあなたのことを傷付けたでしょ。 もちろんわたしも、それで傷付いたけれど」

「……あなたはわたしのせいで、離婚したんですよね? 本当にすみませんでした」

 と謝るわたしに、彼女は「謝らないで、中原さん」と言ってくれた。

「でも……」

「玲音と離婚したのは、あなたのせいじゃないわ。……玲音はあなたと以外にも、浮気相手がいたから」
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