僕らの恋愛事情【完】 ~S・S更新中~
「家主追い出して泊る神経ないよ。俺が出てく」
実家はここから少し遠いし、ペットがいたんじゃホテルも取れないだろう。
ましてや夏休み真っ只中のシーズンなのに。
「でも、お兄さん行き場所ないでしょ?ねえ?」
「みやぁ~」
あ、かわいい。返事した。
「・・・・・・」
「どうしました?」
「あ、いや、なんでもない・・・です」
たぶん話し方で迷ってるよねこの人。
さっきは怖い顔していたのに。
「敬語、いりませんよ。たぶん結構下です。」
「何歳?」
「僕は25です」
「俺は29・・・いや、四月で30になったんだった・・・って、そんなのどうでもいいか。名前は?」
「島崎です」
「鮫島です」
「ええ、知ってますよ」
「あ、そうか。えっと・・詩安 です。鮫島 詩安・・・」
お互いぎこちない会話の中、猫が出せとばかりにミャ~ミャ~と鳴く。
「出していいですよ」
「え、いいの?」
「はい、この子、窮屈でしょうし」
「じゃあ、お言葉に甘えて…」
ゲージを開けたら警戒しながら出てくる。
「大丈夫だよ、恐くないから」
そう言っても警戒心は消えなく低姿勢だった。
「じゃあ、もう行きますね。鍵、ここにあるんで、出てくときはポストに入れて下さい」
「あ、ちょっと、本当にいいの?おれめっちゃ悪い奴かも知んないよ?」
「悪い人はそんなこと言いませんよ。———でも、例えば悪い人だとして、この部屋でどんな悪さするんですか?」
「え?・・・んーと、家具を全部売り飛ばすとか、あ、このゲーム盗むとか?」