僕らの恋愛事情【完】 ~S・S更新中~
「腹減っただろう?待たせてごめん」
粒状のごはんを皿に入れたらカリカリと食べていた。
水も新しいのに取り替えたらのどが渇いてたのか、ぺちゃぺちゃと勢いよく呑んでいる。
今日は夏日だったし、暑かったんだろう。
空調のスイッチを入れて、冷蔵庫を覗けば、今日も詩安さんが作ってくれた食事がラップをかけられた状態で仕舞ってあった。
美容師の詩安さんは、かの有名なデザイナー、”涼子・サエジマ”のチームへと入るために短期でやってきたそうだ。
近々ショーがあるらしく、その関係で帰りが遅い。ほぼ夜中を過ぎるのが日常で、山奥から通うのは確かに、無理そうだった。
今日もこれを作ってから仕事へと行ったのだろう。
いつもなら有難く頂くのだけれど…今日は食べられそうになかった。
食べずに寝室のベッドで横になる。
そうしたら、アップルも俺の布団に潜り込んできた。
暑いなって思うけど、そばに居てくれるのは嬉しい。
身体を撫でながら目を瞑る。そうしたらさっき感じてた不安や悲しみは、すこしづつ浄化されていくように落ち着いてきた。
「・・・島くん?ご飯食べてないの?」
俺は詩安さんの声で今まで寝ていたんだと知る。
「はい、せっかく作ってくれたのに、すみません」
「いや、いいんだけどさ…。夏バテ?あれ、服そのままじゃん、大丈夫?手伝おうか?」
「大丈夫ですよ、自分で出来ますから」
「そう?もし食べれたら一緒に飯食う?」
「いいえ、大丈夫です。このまま着替えて寝ます」
「そっか、なんかあったら呼んでね?」
「はい、ありがとうございます」
ドアを閉めていった詩安さん。スマホの時計を見てみる。
うわ・・・もう2時過ぎてんじゃん…。今帰って来たんだ?
大変だな・・・。
ただでさえ大変なのに、心配かけちゃいけない。
明日もちゃんと新しく一日を始めようともう一度目を瞑る。
どんな状況に陥っても、俺は有言実行していかないと。
どんな世界だって、生きていくしか方法はないのだから。