僕らの恋愛事情【完】 ~S・S更新中~
「じゃあ―――もうイタリアに帰るんですね」
「うん、それなんだけどさ・・・・、あのね、島くんね」
「はい」
「一緒に行かない?」
――――――――・・・・は?————
「なんで?って顔だね」
「・・・・はあ、(そりゃあ――そうなりますよ)」
「島くんはいま失業中だよね」
「まあ、はい」
「次の仕事は?どんなのにするの?」
「・・・決まってないです。とりあえず、派遣とか中途採用をとは考えてますけど—――正直厳しいですね」
前の会社は私服で良かったけど、そんな職場もなかなかないだろうし…
同じ職種は・・・やっぱあんなことしでかしてるんだから、情報も回ってるだろうし採用は難しいよな。
「じゃあ、夢ある?日本に」
「———…無いです」
「———じゃあさ、日本に未練・・ある?」
未練―――
ここにもう未練はない。
友達ナシ
恋人たちとは破局
唯一好きでいてくれた幼馴染のハルは結婚秒読み・・・
「ない・・・です」
「じゃあ、俺と違う世界に行こう?———きっと君が望む世界がそこにはあるよ」
俺の望む世界…
この人はどこまで俺のこと知っているんだろう?
その右手の傷は?
――――もしかして
紫音に会ったとか?
じゃないよね?
「ココはまだまだだ―――君が生きていくには世界が狭すぎるよ」
―――紫音に会ってきたかもな
何となくジェンダーには優しくない社会だって言っているみたいに聞こえる。
でも甘えちゃだめだ。
きっとこの人にも迷惑をかけてしまう。