僕らの恋愛事情【完】 ~S・S更新中~
ごめんな、晴秋。
お前が、いい男だってのは知ってるよ。
だからって訳じゃないけど、ちゃんとした『女の子』と付き合ってほしい。
ハルだったら、きっといい女性に巡り合えるよ。
だって、男気溢れるいい男だもん。
俺はその伴侶に相応しくない存在なんだ。
それにさ…。俺も、人肌恋しいんだ。
ハルの気持ちを無視して身体だけ利用して、傷つける前に
その前に、お前を突き放さないとって思ったんだよ。
自分が非道になり下がらないためにも、こうしたほうがいいと思ったんだ。
卒業式の日、勇気を出してケイを呼び出した。
これが最後になるって思ったから、ちゃんと気持ちを確かめたかったんだ。
もしかしたら、彼氏と別れたかも知れない。
やっぱ、俺がいいとか、言ってくれるかなって、少しだけ期待していた。
けど、そんな事なんてあるわけ、ないんだよ。
「やっぱ、ない?」
「うん、悪いけど」
「そうか」
ケイはなにも変わってなかった。
「でも、ごめん。あんなこと言って」
「ううん、いいんだ。ごめんな、あれするの、イヤだったろ?」
「嫌だったのは祐子だろ?顔が歪んでた」
確かに、はじめは痛かった。
「祐ちゃん、ごめんね。やっぱ、ダメみたい。今の彼氏と付き合って、やっぱこっちなんだなって、思って…。祐ちゃんは男らしくて好きだったけど、その」
「それは、慰めようとしてんの?余計傷つくんだけど」
「あ、ごめ・・」
最後に少しだけ、女の子になってるケイを見れた。
これだけで、もう十分だよ。
「ありがとう、ケイ。俺、すげー幸せだったよ。俺も頑張って彼女作るよ」
安心させるために、前向きな発言をしながら笑顔を浮かべた。
「じゃあね」
さようなら、大好きなケイ。
これから、どんなに恋しようと
君ほどに心惹かれる人なんて
きっと、現れないよ
家に帰った俺は、二度と着ることのないこの女子用の制服を、帰ってすぐに切り捨てた。