僕らの恋愛事情【完】 ~S・S更新中~
洗面所の鏡を見ながら詩安が選んでくれたネクタイを締めた。
こうしてると、高校生活が始まる日に初めてネクタイを締めた記憶がダブる。
俺はよっぽどいい表情を浮かべていたのかな?
「いい生地だわね」
顔を綻ばせた母さんが生地を触りながら呟いた。
「いいでしょ?彼がプレゼントしてくれたスーツなんだ。町の仕立て屋さんが作ってくれたオーダーメイドなんだよ」
「うぁ――凄いね」
「うん、実際に生地を選んでね、寸法もちゃんと図って作ってくれたんだよ」
「通りでね。凄く体に馴染んでいるもの。どれどれ、良く見せて?」
俺は暗い灰色に近いグレー系で、詩安は深いメイビーの色
詩安とお揃いのデザインにしてもらったんだ。
「うん、ピッタリね。凄くいいわよ―――自信もっていってらっしゃいね?」
「うん―――行ってきます」
この間、近所の母親たちに話したから、幼馴染たちは知ってると思う。
でも―――やっぱり緊張する
逃げ出したいって、思ってしまうけど。
そう言う訳にはいかない。
俺は、彼の為に…変わりたいのだから。
彼と新しい世界へと飛び込む為に。
***
会場のホテルについて自分の姿を大きな姿鏡で見た。
身長168センチ 体重54キロ
男にしては華奢な身体つきで顔も少し白い。
肩も丸くならないように背中を伸ばした。
髪は詩安がカットしてくれたツーブロックスタイルでフォーマル用にセットしてきた。
どこから見ても男だな
これが、本来の自分の姿。
この姿で、みんなの前に出る勇気がなかったけど、俺は詩安と新しい一歩をここから踏み出したい。
「おっし・・・行くかっ」
小さく呟いて、ホテルのロビーを抜けて会場へ向かった。