僕らの恋愛事情【完】 ~S・S更新中~
「島崎祐子です」
「ーーーーーああ、はい、島崎さんですね」
少しの間があったけど普通に対応してくれた。
見たことない顔だから、お嫁さんの友人だろうな。
「あ、来た!いやあ!めっちゃ久しぶり!」
「ああ、みっちゃん、元気?ってかよくわかったね?」
「わっかるよー、中学まで一緒だったじゃーん」
この間の母親たちへの前ぶりがあったからなのか、幼馴染たちは特に俺の男装に驚いていなかった。
一番驚いていたのはこいつだ。
「———あ゛?!!祐子?マジで?――いやいや、・・・マジで?!!」
「ハル、そんなに驚くなよ、傷つくって」
「いや、だって、はぁ?!あ、――そっか、まあ、そうだよな」
「———納得した?」
「うん…ってかさ、そんなの早く言ってよ」
「言えなかったんだよ、周りの反応が怖かったし」
「んだよもう―――。・・・そっか、そういう感じだったのかぁ―――。悪かったな――いろいろ言っちまって」
「ううん、いいんだ。あの時、自分でも何者かわかってなかったから、気にすることないよ」
ハルはいつも俺に女らしくしろって叱ってた。
部屋が男っぽい、女子っぽい小物置けとか
髪伸ばせとか、男子と野球やったりするなとか大きな口で話すなとか…
もっとおしとやかにしろ―――とか
そういうのを小さいころから聞いていたから
気持ちに返事できなかったんだよな。
ハルはきっとつき合う人に”女らしさ”を求めているんだなって思ったから。
そのままでもいいだなんて嘘は、すぐに見抜いていたよ?