僕らの恋愛事情【完】 ~S・S更新中~
『いい加減帰っておいで』
母親にひとこと言われた。
どんな道に進むかは詮索しない。
でも、その道でやっていきたいのなら、こっちで修業して実績を積めと。
その通りだった。あの先生に拒否されてしまったいま、俺はこの街にいたって美容師として仕事が出来ないのは目に見えている。
”麗奈ちゃんにも相談したから”
電話越しに言われて少し嫌な気分になる。そういうコネを使うのが、どこか真剣に評価されなそうで嫌だった。
普通ならこういうコネ使って業界へと名前を売っていくんだろう。
でも、そんなことに大人の汚さを感じてしまう俺は、ガキ過ぎるぐらいバカだった。
「かわいい・・・キモチいの?キモチいいんだ?」
「うるせ、毒リンゴ。黙ってろよ、萎える」
「うっそだあ、こんなに元気なのにぃ」
バカな女と繋がって悔しさを紛らわす。
俺は、ここを去らないといけないんだな。
責任感じて紗子のところに来て支えてやろうと思ったのに、あのバカは俺なんかの助けは要らないっていう。
それどころかいつまで居るんだ発言までしてよ…。
本当、紗子のくせに、ムカつく。