僕らの恋愛事情【完】 ~S・S更新中~
「おれ、あっちに帰っから」

「うん、おっけー。こっちに戻ったら連絡頂戴ね~」


鼻歌交じりでシャワーを浴びに行く女。


ガチャ

「きゃあ、ちょっと・・・何?もう一回?」

「もう帰ってこない」

「は?」

「この場所にはもう戻ってこない、じゃあな、毒リンゴ」

「え?―――ええ~?なにー?冗談でしょ?」


一人浴槽で慌てふためく彼女を置いて、ホテルを出る。


外は綿みたいな雪が降る綺麗な夜だった。







「・・・・・・兄ちゃん、顔つき変わったね。ああ、分かった、遂に卒業したんでしょ?んで、どんな子とセックスしてきたの?まさか・・・・紗子じゃないよね?」

「アホか、そんな事する訳ね―だろ」

「そう?・・・・良かった。紗子は妊娠するし、遂にやっちゃったのかと思ったよ」



ムッカつく弟め。


「このマンションに女連れ込んでないだろうな?俺住んで、四月から専攻通うからな」

「ああ大丈夫。部屋に呼ぶとかそんな血迷ったことないから。待ち伏せくって刺されるもん」


・・・・お前はまだ高校生だっていうのに・・・・。

女に刺されそうなことすんなよ、物騒だな。



また東京での生活が始まる。

夢の時間は長く続かなかったけど、俺は美容師になるため、専攻に通うことを決めたから、その準備で忙しかった。

「詩安くーん!よろしくね」

「こちらこそ、宜しくお願いします」


それまでは、麗奈おばさんの付き人としてメイクの勉強もさせてもらう。


辛いことがあっても、夢があるって幸せだ。

それに向かって没頭できるから。

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