僕らの恋愛事情【完】 ~S・S更新中~

「あはは、ごめん。会いたくて来ちゃった」

「来ちゃったって・・・」


いつか、シャワー室に置いてきた女は、旅行に似つかわしくない大きなスーツケースを抱えて現れた。



「だって、急に居なくなっちゃうんだもん。冗談だと思うから、普通に」

「・・・・・・・・・」

「怒った?」

「~~~~」

「やだ、何で泣くの?ちょっと!恥ずかしいからやめてってばっ」


そう言いながらも、精いっぱい背を伸ばして俺の泣き顔を隠すために肩に抱き寄せてくれる。


「・・・・しんどかった・・・弱さを見せられる人がいなくて」

「あはは、そうか。じゃあ、私が情けない詩安君をいっぱい見てあげるから、もう大丈夫だよ」


その時は、凄く救われた気になったんだ。

この世でただ一人、自分の理解者が出来たんだって。

そんな大げさに思えるくらい嬉しかったんだ。

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