僕らの恋愛事情【完】 ~S・S更新中~
「うわ、詩安。もう帰ってたの?早いね」
「・・・・帰ってたら悪い?」
「なぁあに?怒ってんの?」
「・・・別に」
林檎の勤め先は残業がない。
だから、こんなに遅く帰ってくるのは不自然だった。
その頻度は多く、月にしたら一回や二回じゃすまない。
「飲み会?」
「うん、知らせたでしょ?」
「・・・随分こっちの人らと仲良くなったんだな」
「・・・そりゃあさ、こっち来てだいぶ経つし、もともと地元の友達もこっちにいるしさ、仕方ないじゃん。詩安だって家空けがちじゃん」
「学校行きながら仕事してんの。しょうがねえだろ?」
なんとなく林檎の言葉が信じられなかった。
男と二人だけで歩いてるのをみたことあったから。
問い詰めたら、飲み会の居酒屋に行く途中に一緒になったからって言われた。
確かに二人で居酒屋入ってったけどさ・・・・俺の疑いははれることがない。
「詩安・・・しよ?」
俺が疑い深くなる時は必ずこうやって誘ってくるんだ。
そうして、どこか負い目があるように俺の身体を愛撫してくる。
俺が喜びそうなことばかりして、ご機嫌を取っているようにしか見えなくなっていた。