僕らの恋愛事情【完】 ~S・S更新中~

指定された喫茶店は、落ち着いた雰囲気だった。

淡い照明が落ち着けて、その日の疲れを宥めてくれる。

コーヒー好きな俺の鼻は、質の良さそうな焙煎の香りを捉えて、興味がそっちに行きかける。


でも、これから穂香ちゃんと会うんだったと思えば少し気持ちが重くなる。

いつからいたのだろう?彼女はコーヒーの他にも食べ物を注文していたのか、空になった皿がいくつかあった。

それらを一か所にまとめ、本を読みふけっていた。


「ごめん、遅くなったね」

「あ!ゆ、ゆうしさん!すみません、もっと遅くなるかと」

そう言いながら慌てふためいて、皿を片付けていた。

俺も手伝おうとしたけど、皿が滑り落ちテーブルの上でグワンと波打つ。

やべ・・・不器用なのがバレる。

「いいですよ、私どもの方でやりますので」

ウェイターの人が代わりに片してくれた。

いろいろと気になるメニューもあったけど、一番手ごろなレギュラーコーヒーを注文した。

「もっと遅くに終わるはずだったんだけどね、先輩方が早く帰してくれたんだ。待たせてごめんね?」

「いいえ!こちらこそ・・呼び出してすみません」

俺のコーヒーがテーブルに置かれ、一息付けてから微笑みかける。

「―――それで、話したい事ってなにかな?」

「あ、はい」

彼女が姿勢を正したから、俺も同じようにする。

「あのっ、ユウシさん?」
「・・・・はい」
「えーっと・・・」

言いづらそう・・・。
やっぱ、いきなり”好きです”とか、くる?

そうしたら、なんて答えればいいんだろう?
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