僕らの恋愛事情【完】 ~S・S更新中~
「内定おめでとうございます!紫音先輩!」
「・・・・・・」
「いやー、ギリじゃないですか。のんきにしてるからですよ?」
「もう、ユウシ君、そんなこと言ったら失礼だよっっ。すみませ~ん、鮫島さん」
「・・・・・・」
先輩は終始無口のままだった。
特に穂香のことを見つめたまま、動こうとしない。
いつも何考えてるかわからんけど、今日もさらに読めない顔してる。
「・・・紫音先輩?」
「・・・・・・」
反応なしだ。
「今日はお祝いに奢らせてくださいね?」
そんなセリフは頭に入ってないみたいだ。
まじまじと穂香を見つめ、首を傾げてやっと口を開いた。
「・・・これ、ダレ?」
紫音先輩は感情の見えない顔で、彼女を指さした。
”だれ?”っていうか・・・
そもそも、その言い方や仕草に棘がある。
穂香は、勝手に来たわけじゃないのに。
俺と彼女が二人でこの店で呑んでる時に、連絡してきたのは先輩のほうで・・・
内定もらったから、酒飲みたいって、それで俺が居酒屋にいるって知って
『じゃあ行くわ』って事情とか、誰と呑んでるとか聞かなかったのは、先輩の方だ。
「ご、めんなさい・・。馴れ馴れしく話しかけてしまって・・・。あの、連絡もらってからここに来るって分かって、嬉しくなってしまって」
「嬉しい?」
あ、凄く不機嫌な顔してる。この顔は、よく見た。
サークルの飲み会とかで。
「はい、前からユウシ君から、話を聞いていたので…、勝手に親近感持ってしまいました・・・」
「・・・・・・ぜんぜん、訳分かんねぇ」
「あ・・・、そうですよね…、わたし、帰ります」
「だめだよ!ほのちゃんっ!もう遅いんだから送るって言っただろ?」
「うん・・・でも・・・」
「え、ユウに彼女が出来たってこと?」
それは・・・あまり触れてほしくない
そんな、ハッキリと口に出してほしくなかった。