僕らの恋愛事情【完】 ~S・S更新中~
それから先輩は時間に少し余裕が出来たみたいで、前のように街をプラプラすることも増えてきた。
俺と穂香が出かけるときも、いつの間にか会うことも多くなって、そのまま3人で過ごす日も増えていく。
そのうち三人で集まりだして、俺と穂香、二人の空気間の中に、先輩のどくどくな脱力感も交じって、三人の雰囲気が出来つつもある。
はっきりしないお互いの感情に、じれったくも諦めにちかい感情も出てくるようになって、楽しそうに話す二人を見ては、どことなく自分だけ違う世界にいるような気持になってしまってた。
俺って、この二人の邪魔をしているのかも。
認めたくはないが、誰の目にもそう見えただろう。
「ユウシ君?」
「あ、うん?」
「決まったの?」
そうだった
歩き疲れたから、例のマックで休憩しようって話になったんだった。
「あ—…、アイスコーヒーにする。あ、いいよ、自分で行くから」
俺の分を注文しに行きそうな穂香を呼び止める。
ひとりでぼーっとしてたみたいだ。
先輩や穂香はもう注文をし終わって、飲み物を片手に待っていた。
「先に行ってて、すぐ行くから」
なるべく笑顔を作った。
俺はすぐに顔に出るからな、変に探られたくない。
穂香がここに来たいって前に言ってたんだ。
いつも先輩とここの二階の外に向いてるカウンター席から、街行く人を眺めてるんだって言ったら、行ってみたいって。
重い足取りで階段を上がり、フロアを見ればやっぱりいつもの席に二人はいた。
紫音先輩と笑い合った思い出の中に、穂香がいる。
それが凄く嫌な感じがした。
「アハハ、本当だ。あの人の知り合いだったのかなぁ?」
「どうだろな?ああ、まだ見てるよ、すっげー気にしてる」
「声かければいいのにね」
「勇気ないんだ、きっと。人違いかも知れないから、ああやって遠くから見て確認してる」
「本当だ・・見てるねぇ」
二人で仲睦まじそうに、下にいる人々を観察してる。
俺がこのまま帰っても、気づかない?・・・かもな。
元々、俺がいなかったみたいに・・・