僕らの恋愛事情【完】 ~S・S更新中~
”ケイ”
久々に、その名前を聞くだけで思い出す。
背が高くて、体の線が細くて、まるで女体のように美しい体つきだった。
高1のころ、放課後一緒に帰って、ケイが好きだった喫茶店に寄ったり、公園で手を繋ぎながら、何気ないことを話して帰ったり。
でも、一番記憶に残っているのは、初めて笑顔を見た時。
中学校の時に初めて見た笑顔にドキドキした。
その後も家まで送ってくれたり、放課後の教室でダラダラと話したり。
中でも、俺の中の一番は、あの公園の思い出。
お互いの悩みを打ち上げながら、気持ちが通じ合った時の救われた喜び。
自分の居場所が見つかった安心感で、満たされていた幸せな日々。
何年たっても、その幸せな日々の記憶は消えることはなかった。
そして無意識に、今自分が置かれてる状況と照らし合わせてしまう。
二人に対して答えが出ない俺は、本当に二人のことを・・・求めてる?
ただ、寂しさを埋めてくれる存在?
それは、つまり・・・俺はとんでもないことを二人にしてるんじゃないか?
「おいお~い、島ぁ?ボーっとしてる時間ないからな!」
真鍋さんに背中をバンバン叩かれて正気に戻る。
そうだ、今は仕事中だった。
集中しないと。