僕らの恋愛事情【完】 ~S・S更新中~
「気が向いたらつければ?」
「うん」
手首にあててみた。
デザインがシックでカッコいい。
「男用?」
「女用ならつけねぇだろ、お前」
「・・・・・・・・」
ご名答です。
ハルは昔からさ、こうなんだよな。
LGBTなんて知ってるか、知ってないか、わかんないけど、俺の事ならほぼ何でも知ってるし、先読みして手遅れ前にこうやって引き上げてくれる。
その日は、そのまま寝てしまって、いつの間にかベッドに寝ていた。
「はる?」
明るい部屋に虚しく響く、男みたいに低い声。
その声に返事が来ることもなく、見渡しても誰もいる気配がなかった。
昨日のハルはらしくなかったし、夢だったんじゃないかって思ったけど、テレビの前に置かれたままのゲーム機を見つけて安心した。
よかった、夢じゃない。
これがここにあるってことは、また来てくれる。
この部屋でまた会えることに安堵していた。
***
その日がきっかけだったように、ご飯をしっかりと食べて、身なりも整えるようにした。
”またかよ” そう言われないように強くなりたかった。
ハルはそれからたまに遊びにくるようになって、終電が無くなっては泊まっていった。
部屋には彼のものが増えていく。
「家に帰れよ」”もう大丈夫だから”
照れくさくて言えないから、それは伏せておいた。
おかげさまでバイトにも戻れたし、大学の講義に出向くことも出来てきたんだ。
でも、晴から返ってきた返事は「やだ」だった。