僕らの恋愛事情【完】 ~S・S更新中~
「家の中、修羅場なんだ、だから帰りたくない」

「そうなのか、大変だったな」

「なあに、いつものことだよ」

最近、両親の喧嘩が多くなってるって言ってたな。

きっと自分が卒業するタイミングで話を詰めていくんじゃないかっていってたけど、でも、ハルの事を考えれば、今すぐにでもはっきりしてあげたらッて思う。

夫婦喧嘩を見せ続けるんだったら、卒業に合わせなくてもいいじゃんって、俺なら思うけど…

当の本人は
「好きにすればいいんじゃね?関係ねーし、俺。たいして”あのひとら”に思い入れもないしな」

とか関心がないようなことを言っていた。

「それに、仮面でも長年夫婦やってきたんだしさ。色々あるんじゃない?行き違いの原因とか、誤解されたままで終わるのヤダとか。——そんなのがつもりにつもってああなるんだろ?でも、それがうまくいかなから、修羅場になってるのにな。ほんと、諦めろっつーの」

投げやりに言って強がってるけどさ、わかるよ。
俺だって、伊達に長年そばに居たわけじゃない。

寂しそうな背中を包んであげたかった。
大丈夫だよって、安心させてあげたかった。

でも、それをしなかったのは、そのまま情に流されて汚したくなかった躊躇と

”ピンポーン”

突然の来訪客がきたおかげだった。



ドアの前には、紫音先輩が立っていた。

なんで、先輩がうちに来るの?

咄嗟にハルを見る。


ハルは何かを察して、荷物をまとめた。
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