僕らの恋愛事情【完】 ~S・S更新中~

「彼氏だろ?」
「うん」咄嗟に返事するけど、間違ってはいないと思う。だって、宙ぶらりんのまま二人と会っていないんだから。

「わりい、出るから。荷物今度持ってくから、合鍵まだ借りとくな。」

「え?いま、家に帰りたくないんだろ?」

「フハっ、心配ご無用、おれモテるから。」

不敵に笑って出ていく。

ドアを開けると先輩が俺をみて、出てきたハルに目線を移してた。

いつもみたいな飄々とした雰囲気をよそいつつ、目だけは鋭くハルを射して見上げている。


「ちわーっす。ーーハハッ、すっげーイケメンじゃん。流石だな祐子」

ハルはそう言って、なんでもないように帰って行った。


「あれは、誰?ユウ」
仕事帰りだったのか、スーツを着ていた先輩はハルが消えたほうを見たまま俺に問いかけてきた。

なんか、いつものミステリアスな雰囲気と静かな怒りが入り混じってるようで恐い。

「…幼馴染です」
「名前は?」

「名前?なんで、そんな事先輩に・・・」

「なんでって?俺が、お前の彼氏だからだよ。言ったよな?どちらか選ぶまで3人で付き合うって」

「はい・・・」

先輩がこっちに視線を戻してきた。

「少なくとも、好きなやつが出来たらフってくれって頼んだはずだけど?」
「そんなんじゃ、ないですよ」

「へえ、じゃあ、どんなんなの?」
「ハルは、そういうのじゃなくて、その…」

先輩の顔が迫ってきて、体を逸らすようにしながらも頭は一生懸命に回転させる。

ハルは…

小さいころから一緒で
お互いの事をよく知ってて

頭が良くて、スポーツも万能で

普段は我儘で偉そうなのに

親受けがいい優等生で…

”祐子、好きだ”

俺にまっすぐ気持ちを伝えてくれて

”失恋ぐらいで、人生棒に振る気かよ!”

俺が間違った道を行こうとすれば、いつも正しい道に導いてくれて…


「はる・・・」
「・・・・ムカつく」

キスしようとした先輩は、静かに離れていった。

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