エリート弁護士は契約妻と愛を交わすまで諦めない
「とりあえず、お前の現状と心境はわかった。なんとかしてやる」
「え?」
「まだしんどいだろ?着くまで横になっときな」
少し突き放すようなドライな声音。どういう意味かと問うも、「寝とけ」と言うだけ。
こうなると朔は答えてくれない。疲れと泣き叫んで頭がボーっとしている私は言葉に甘えてシートに身を倒す。
もしかしたら、今日私のこと連れて帰るためにわざわざ車で来てくれたのかな。それだと申し訳ないな。お酒も飲めなかっただろうに。そもそも、朔はお酒飲めるのかな。今はどこに住んでるんだろう。隣の家には朔のおばさんが住んでいるから別の場所だろう。今日はアメリカから一時帰国したの?
いろいろ聞きたいことがあるのに、瞼が重くなってくる。
昔は何でもわかっているような気でいたのに、今じゃ知っていることのほうが少ないなんて。
離れていた十三年の月日は想像以上に厚くて見えない壁のように感じた。
***
工藤朔と私は小学校からの幼馴染だ。実家の隣が朔の祖父母の家だった。そして、私の母と朔の母も幼馴染。朔の母は大学から一人暮らしをしてやがて結婚、うちの母は父を婿に取り、実家をそのままリフォームして暮らし、私と弟を産み育てた。
夏休みに里帰りする朔とは、気づいた時から一緒に遊ぶようになっていた。
八歳の頃からは朔が祖父母の家に住み始めた。親が離婚して、朔は母親に引き取られたのだ。朔の母親はキャリアウーマンで出張が多く、祖父母の家で生活するほうが安心という流れらしい。
年に一度だけしか会えなかった男の子が、それから本格的に関わっていくことになった。
朔は昔っから不愛想な子供だった。無口で自ら友達の輪に入ろうとしない。私とも「うん」とか「いや」とか端的な返事が多かった。私はもうひとり、人見知りの弟ができたみたいに朔のことをいろいろと構った。
「え?」
「まだしんどいだろ?着くまで横になっときな」
少し突き放すようなドライな声音。どういう意味かと問うも、「寝とけ」と言うだけ。
こうなると朔は答えてくれない。疲れと泣き叫んで頭がボーっとしている私は言葉に甘えてシートに身を倒す。
もしかしたら、今日私のこと連れて帰るためにわざわざ車で来てくれたのかな。それだと申し訳ないな。お酒も飲めなかっただろうに。そもそも、朔はお酒飲めるのかな。今はどこに住んでるんだろう。隣の家には朔のおばさんが住んでいるから別の場所だろう。今日はアメリカから一時帰国したの?
いろいろ聞きたいことがあるのに、瞼が重くなってくる。
昔は何でもわかっているような気でいたのに、今じゃ知っていることのほうが少ないなんて。
離れていた十三年の月日は想像以上に厚くて見えない壁のように感じた。
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工藤朔と私は小学校からの幼馴染だ。実家の隣が朔の祖父母の家だった。そして、私の母と朔の母も幼馴染。朔の母は大学から一人暮らしをしてやがて結婚、うちの母は父を婿に取り、実家をそのままリフォームして暮らし、私と弟を産み育てた。
夏休みに里帰りする朔とは、気づいた時から一緒に遊ぶようになっていた。
八歳の頃からは朔が祖父母の家に住み始めた。親が離婚して、朔は母親に引き取られたのだ。朔の母親はキャリアウーマンで出張が多く、祖父母の家で生活するほうが安心という流れらしい。
年に一度だけしか会えなかった男の子が、それから本格的に関わっていくことになった。
朔は昔っから不愛想な子供だった。無口で自ら友達の輪に入ろうとしない。私とも「うん」とか「いや」とか端的な返事が多かった。私はもうひとり、人見知りの弟ができたみたいに朔のことをいろいろと構った。