エリート弁護士は契約妻と愛を交わすまで諦めない
私の貯金で朔が喜ぶものが買えるのかどうかも問題だけど、まず朔の欲しいものがわからない。何が欲しいとか口に出さないタイプ。服もあまりこだわりなくて、シンプルでコーディネートしやすい色合いの服を選んでいる。
考えても思いつかなくて、自分の非力さに頭が重くなってくる。でも、もやもやした気持ちのまま終われなくて、マンションについて玄関で靴を脱いだところで、思い切って朔に訊いてみた。
「ねぇ、朔。何かほしいものとかない?」
「いきなりなんだよ?」
「なんか、私ばっかりいろいろしてもらっちゃって、いい思いしてるから」
「そんなことないって」
「でも、私が何かしたいの!」
朔が取り合わな過ぎて、語気が強くなる。まるで駄々っ子みたいだ。
って、これってそもそも朔のためになってる?
困らせているだけではと思ったら、案の定無言で立ち尽くしている。軽く空を見上げて困り顔。朔のためなのに、困らせては本末転倒。我を通す形では意味がない。
「あ、無理なら……」
「じゃあ、触ってもいい?」
声が重なったけど、ちゃんと聞こえた。
えっと、触る?どこを?
瞬時にそんな問いが浮かんで、その後は混乱で声が出なかった。朔は自分が唐突すぎたとバツが悪そうに頭を掻く。
「今日、ちょっと触れても大丈夫そうだったから」
車で送ってもらった時、軽く拳を合わせた。あの時は私もまだ不安だったけど、朔と触れても嫌悪感もなければ息苦しさもなかった。朔と過ごしてきて、安心できているから。
『何があっても俺はお前を傷つけない』
あの海岸での言葉がいつも胸にある。
「う、うん、大丈夫だと思う」
ゆっくり頷く。朔の手が下から救い上げるように私の手に触れた。ちょっと熱い朔の手のひらがぎゅっと私の手を包み込む。
「怖くない?」
「……大丈夫」
前まで男性に接触すると怖くて、吐き気がしたけどもうない。
狭い廊下で向き合って手を繋ぐという不思議な形だけど、ちょっとじんとしてしまった。前までできていたことができなくなる。急にひとり放り出された暗闇から元の世界に戻ることができた感じ。そのきっかけが朔であることがまた嬉しい。
それを噛み締めていると、突然朔が私の肩に顔を乗せる。急に近くなった彼の呼吸に背筋が伸びた。
「さ、さ、ささ朔!?」
鼓動が早くなる。もちろん、恐怖や嫌悪ではなく、緊張と困惑。そして、隠しようがなくなった異性への期待。
考えても思いつかなくて、自分の非力さに頭が重くなってくる。でも、もやもやした気持ちのまま終われなくて、マンションについて玄関で靴を脱いだところで、思い切って朔に訊いてみた。
「ねぇ、朔。何かほしいものとかない?」
「いきなりなんだよ?」
「なんか、私ばっかりいろいろしてもらっちゃって、いい思いしてるから」
「そんなことないって」
「でも、私が何かしたいの!」
朔が取り合わな過ぎて、語気が強くなる。まるで駄々っ子みたいだ。
って、これってそもそも朔のためになってる?
困らせているだけではと思ったら、案の定無言で立ち尽くしている。軽く空を見上げて困り顔。朔のためなのに、困らせては本末転倒。我を通す形では意味がない。
「あ、無理なら……」
「じゃあ、触ってもいい?」
声が重なったけど、ちゃんと聞こえた。
えっと、触る?どこを?
瞬時にそんな問いが浮かんで、その後は混乱で声が出なかった。朔は自分が唐突すぎたとバツが悪そうに頭を掻く。
「今日、ちょっと触れても大丈夫そうだったから」
車で送ってもらった時、軽く拳を合わせた。あの時は私もまだ不安だったけど、朔と触れても嫌悪感もなければ息苦しさもなかった。朔と過ごしてきて、安心できているから。
『何があっても俺はお前を傷つけない』
あの海岸での言葉がいつも胸にある。
「う、うん、大丈夫だと思う」
ゆっくり頷く。朔の手が下から救い上げるように私の手に触れた。ちょっと熱い朔の手のひらがぎゅっと私の手を包み込む。
「怖くない?」
「……大丈夫」
前まで男性に接触すると怖くて、吐き気がしたけどもうない。
狭い廊下で向き合って手を繋ぐという不思議な形だけど、ちょっとじんとしてしまった。前までできていたことができなくなる。急にひとり放り出された暗闇から元の世界に戻ることができた感じ。そのきっかけが朔であることがまた嬉しい。
それを噛み締めていると、突然朔が私の肩に顔を乗せる。急に近くなった彼の呼吸に背筋が伸びた。
「さ、さ、ささ朔!?」
鼓動が早くなる。もちろん、恐怖や嫌悪ではなく、緊張と困惑。そして、隠しようがなくなった異性への期待。