俺様石油王に懐かれて秘密の出産したら執着されてまるごと溺愛されちゃいました
「?!」

 不意な出来事に、何が起こったのかわからず固まる私に、アミールは何度も角度を変え、チュ、チュッと唇を落とす。

 下唇をハムッっと甘噛みされて、

「……ふえっ?」

 我に返った私は、慌てて距離を取ろうと、アミールの胸に手を当て押してみる。

 暫く、伏せっていたにも関わらず、今までに鍛え上げられた胸板は、厚い筋肉で覆われていて、ビクともしない。

 息をするタイミングがわからず、ハフッと、口を開けると、待ってましたとばかりに、アミールの舌が私の舌を絡み取った。

「ふ……っ、ンンッ…… 」

 歯列を丁寧に舐め、上顎を刺激される。

 舌を吸われ、角度を変えて、何度も深く入り込み、水音が響いて、二人の唾液が絡まり合う。

 どうして良いかわからなくて、必死で彼の舌に絡める。

「一花…… 」

 キスの合間に、名前を呼ばれ、フワフワと酔いが回ったように、心が浮き足立つ。

(…… ダメ! 彼には、アイシャさんがいるのよ! )

 婚約者という彼女の存在が、茹だった思考に、辛うじてブレーキをかける。

「……っ、アミール……ッ!」

 トンッと、肩を叩くと、彼は名残り惜しそうにチュッと、リップ音をさせて、唇を離した。
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