俺様石油王に懐かれて秘密の出産したら執着されてまるごと溺愛されちゃいました
「…… 教えてくれ、なぜあの時黙って消えた? 」
怒りを含ませたバリトンボイスが、低く響く。
「…… 帰国は決まっていたの。 前日に、ウィルスによって、各国、入国制限措置が取られることになって、入国制限が出される前に日本に帰国する様に病院側から、急遽決定されたの。
派遣看護師の私には、どうする事も出来なくて。 それに…… 」
こんな幼稚な事を言ってしまって本当に良いのだろうか…… 醜い嫉妬心を曝け出した私をどう思うのだろか…… そう想いを巡らせハッとした。
(…… え…… ? )
バクバクッと、心臓が凄い音で鳴り響き、ガクガクと震えが起きる。 息が詰まり、上手く呼吸が出来なくなる。
「一花…… ?」
青褪めて、ハァハァと苦しそうにする私に眉を顰め、手を伸ばしかけたアミールは、ビクッと目を見開いて固まった。
「フフフフフフッ……ッ 」
今頃、三年もかかって、今頃気がつくなんて……
ドロドロと重苦しくのしかかり、モヤモヤする気持ち。
(嫉妬…… 、私、アイシャさんに嫉妬していたのか…… )
アミールは私が好きだと言ってくれた。
でも、私は逃げ出した。
彼にはアイシャさんが一番にいたから。
二番目なんて我慢出来なかった。
一人占めして、私だけを見つめて欲しかった。
ずっとずっと、「愛」が欲しかった。
ずっとずっと、「愛」がわからなかった。
だって誰も「愛」する事なんて教えてくれなかったから。
「私は…… 、私はあなたを一人占めしたかった」
泣きそうなってハの字に眉を顰め、涙が溢れない様に笑う。
ハァァァーーーーッッと、深い溜息が漏れる音が響いた。
「やっとか…… 」
困った様に呟いて、アミールは私を見つめて破顔した。
良い子ぶってずっと、最初から自分には無理だと欲しがるのを諦めていた。
羨ましいって思うだけで自分から、努力しようともしていなかった。
だから、モヤモヤの正体がわからなくて、もどかしかった。
「私、アイシャさんが羨ましかったの」
「アイシャ??、 が? 」
眉を寄せて意味がわからないと首を捻る。
「あんな風に、自信満々に、私が第一夫人よ! アミールに愛されてるのは私なのよ! って言い切れる素直さが」
素直になればなんて事ないのにね、と笑う私に思ってもいない返事が返ってきた。